アメリカによる軍事介入の危機にあるシリア、
今もって非常事態宣言が出されたままのエジプトなど、
「アラブの春」の余燼がまだくすぶり、予断を許さない情勢がつづいています。

そうしたなか、「アラブの春」を執筆のきっかけの一つとし、
その分析に1章を割いた小社既刊のジジェク『2011』の書評が出ました。

図書新聞9月14日号で、評者は箱田徹さん

「二〇一一年は、本書のカバーに配置された数々の写真が示すように、
世界各地の人々が、新たな夢を自覚的に見始めた年だと、ジジェクは捉える。
以来、現在も世界各地で続発する叛乱は、
個別具体的な問題への解決が、グローバルにしか解決できない、
グローバルな革命情勢の到来を示しているのだ」

「抗議者は『夢想家』ではない。
『強欲な猛獣』たる金融資本主義の馴致という、『悪夢』から醒めたのだ。
だからこそ、中途半端な抵抗、改良主義的態度、代案の対置はやめるべきだ」

ジジェクの主張をこのようにまとめ、さらに一歩、言及します。

「現実的とされる主張の現実性を問い直し、理念とはなにか、
という原理的な問いを掘り下げるべきではないのか」

中東情勢だけでなく、日本の現状において、
どのように思考し、行動するかを考えるためにも、ぜひご一読ください!