またしても久しぶりの更新になりました。
昨秋出版した『田村孟全小説集』の書評が昨年末~年明けにかけて掲載されました。

中島一夫さんによる書評(週刊読書人2012年12月7日号)。反天皇小説「世を忍ぶかりの姿」に着目、「天皇のオリジナルとコピーの序列を廃棄した三島由紀夫の『文化防衛論』へのレスポンスとしても読み得る」、「渡部直己『不敬文学論序説』にも新たな一章を要請するかもしれない」と言及しています。

阿部嘉昭さんによる書評(図書新聞2012年12月15日号)では、田村孟の小説と脚本(大島渚監督映画)の分析にくわえ、その小説を「70年代文学の最も強靱な可能態」として中上健次との関係性に言及、「赤い血を噴きあげた中上と、人知れず青く下血した田村」と評しています。

高澤秀次さんは、『キネマ旬報』12年12月号、『映画芸術』442号、『部落解放』13年3月号で取り上げてくださいました。『部落解放』では、田村孟の小説を「共同体の『物語』の終焉を確認する『小説」だった」として、「未刊の戦後文学史の隊列に加わる有資格者であることは間違いない」としています。

田村孟の小説について、いずれの評者も大江健三郎、中上健次との類縁性に言及、現代文学としての可能性に注目しています。
ぜひ書店でお手にとってみてください!