新刊のスラヴォイ・ジジェク『2011』ですが、刊行当初に、フェイスブックで何人もの方が取り上げてくださったほか、文芸評論家・近畿大学教授のすが秀実さんがツイッターで本書に言寄せて、「現代の問題は、『民主主義』による多数派形成ではなく、少数の一般意思による『独裁』である」と言及していました。

先日は、大阪大学特任准教授・篠原雅武さんがブログ「全―生活論」で、本書第Ⅶ章「ウォール街占拠、あるいは新たな始まりの暴力的な静けさ」の議論を取り上げ、次のように指摘しています。
「システムとしての資本主義が現状の民主主義を危うくしている状況において求められているのは、民主主義の立て直しではなく、その拡張である。占拠運動は、民主的な投票行動を拒否するものである。つまり、選挙という形式を拒否することだが、その点では、掘り崩されつつある民主主義のさらなる崩壊を推し進めようとするものである。ジジェクは、この崩壊をいっそうすすめていく先において、複数政党政治的な民主主義の形式を乗り越える、拡張された民主主義が実現されうるだろうと述べている」

また、三省堂書店のブログ「神保町の匠」では、共同通信記者・東海亮樹さんが「ラディカルでないと見えないこともある」と題して書評してくださいました。
本書をわかりやすく概観したうえで、さらに一歩踏み込んで、「日本ではリベラルは息も絶え絶えでナショナルな言説が力を持ち、草の根でもネット右翼と呼ばれる人たちがヘイトスピーチに熱狂している。ジジェクの分析はそういう状況を考える上でも役に立つような気がする」と言及しています。

ぜひ書店でお手に取ってみてください!