【編著者】カルチュラル・スタディーズ学会
【判型】A5判、並製
【頁数】324頁
【定価】本体3,000円+税
【コード】ISBN978-4-906738-19-9
特集〈資本〉
資本制社会に生きる私たちが無意識に前提としている「資本」。
D・ハーヴェイが『資本の〈謎〉』で分析したのはリーマンショック後の世界金融恐慌でしかなかった。
しかし今、格差――下層/上流、若年/老年、男/女など――が拡大の一途をたどり、
労働者が「奴隷化」を強いられるなかで問われねばならないのは、「資本」それ自体がいったい何なのか、である。
この問いの先にこそ、反資本主義の展望が開けるだろう。
なぜ私たちは自分の時間と労働を切り売りしているのか。
なぜ家事は女性の仕事とされるようになり、不可視化され、賃金が払われないのか。
――こうした根源的な問いをめぐり、反資本主義としての労働運動、
「資本」主義への移行期にかんする歴史的分析、
女性の無償労働と魔女狩りの関係性、
資本をめぐる表象分析など、文化研究ならではの多面的な考察を展開する。
主な取り扱い書店一覧
【目次】
カルチュラル・タイフーン 2015「振り返り」
Can you remember ? カルチュラル・タイフーン2015事務局特集〈資本〉
掘りまくってヘッジを倒せ――資本と自由、ついに離別 小笠原博毅不可視な資本を視覚化する――アイザック・ジュリアンの近年の三連作について 近藤健一/小笠原博毅
ネッド・ラッドとマブ女王――機械の破壊、ロマン主義、1811‐12年における幾つかのコモンズ ピーター・ラインボー(マニュエル・ヤン訳)
X2めがけて投げる革命的コモンズのハンマーをつくる マニュエル・ヤン
労働の蓄積と女性の価値の切り下げ――「資本主義への移行」における「差異」の構築 シルヴィア・フェデリーチ(小田原琳・後藤あゆみ訳)
新たな階級闘争史の地平―シルヴィア・フェデリーチと反資本主義の闘い 後藤あゆみ
投稿論文
吾妻新と沼正三によるズボン・スラックス論争――一九五〇年代『奇譚クラブ』における日本的サディズムの萌芽 河原梓水「ユニークで普通な身体」の意味――写真における障害者表象をめぐって 塙 幸枝
都市空間をめぐる地域アートプロジェクトの政治性――東京文化発信プロジェクト「墨東まち見世」を事例に 及川裕子
中野好夫と沖縄――「道義的責任」と主体化の論理 吉田 裕
セッション報告
制度への仕掛け――「たまスタディーズ」という試み 高原太一書評/映画評/展覧会評
女たちはなぜチマチョゴリを着るのか(書評:そんい・じゅごん著/早瀬道生 写真『きゃわチョゴリ』)成実弘至魅了される身体から探る、常時接続社会への処方箋(書評:ジョナサン・クレーリー『24/7』)ケイン樹里安
再発見、社会運動の力と可能性(映画評:ジム・ハバード監督『怒りを力に』、マシュー・ウォーチャス監督『パレードへようこそ』)C.H.A.R.
白老と二風谷、ふたつのアイヌの博物館(展覧会評:アイヌ民族博物館、平取町立アイヌ文化博物館)鋤柄史子
「イメージ」する東京に生きること(展覧会評:「“TOKYO”―見えない都市を見せる」)居原田遥
訂正
125頁(訳注)サブシステンス 4行目不払い運動 → 不払い労働
サブシステンス運動 → サブシステンス労働