『第三の無意識
――ウイルス時代の精神空間』
【著者】フランコ・ベラルディ(ビフォ)
【訳者】杉村昌昭
【原題】The Third Unconscious : The Psycho sphere in the Viral Age
【判型】四六判、上製、スピン有
【頁数】256頁
【定価】本体2,800円+税
【コード】ISBN978-4-906738-49-6
【カバー写真】小林健太
〈世界〉の行方を左右する
新型コロナの世界的蔓延は、われわれの生活をあらゆる面で一変させた。
マスク着用、ソーシャル・ディスタンス、
テレワーク、オンラインでのデートや飲み会……。
今もなお続けられる「新しい生活様式」は、
われわれの精神をどのように変容させたのか。
一連の事態をもとに強化された新自由主義的「悪夢」から、
どのようにして抜け出せばよいのか。
【著者より】
私が本書で描いたのは、新型コロナウイルスによるトラウマのもたらす集合的無意識の変化である。社会生活の加速的活動の突然の停止とその持続による集合的無意識の変化である。
パンデミックのあいだ、このトンネルから抜け出したとき何が起きるだろうかと、多くの人が考えた。社会的次元あるいは精神的次元でどんな傾向性が主流になるだろうか、と。
――われわれは連帯意識を再発見するだろうか。エロス的感性が再活性化するだろうか。他者の身体と触れ合うことの快楽が復活するだろうか。それとも恐怖や距離感が持続的に内面化することになるだろうか。
――日本語版序文より
【目次】
日本語版序文
序文
第1部 境界線
第Ⅰ章 境界線と詩
第Ⅱ章 崩壊を超えて
第Ⅲ章 ウイルスの記号論
第Ⅳ章 スペクトラムと生の地平
第Ⅴ章 精神システムの崩壊
第Ⅵ章 自由と潜在力
第2部 切迫する精神空間
第Ⅰ章 無意識とは何か
第Ⅱ章 自閉症的精神風景
第Ⅲ章 キスキスキス
第Ⅳ章 悲しきエロス
第3部 無になること
第Ⅰ章 終末の神話学
第Ⅱ章 老化問題
第Ⅲ章 死と友達になること
第Ⅳ章 快楽と欲望
第Ⅴ章 疲弊と枯渇
第Ⅵ章 予防精神療法としてのアメリカの反乱
第Ⅶ章 無になること――神のアルツハイマー病
【略歴】
フランコ・ベラルディ(ビフォ)(Franco ‘Bifo’ Berardi)
思想家、メディア・アクティビスト。1949年、イタリア生まれ。
ボローニャ大学で哲学を学び、雑誌『ア/トラヴェルソ』を創刊、
自由ラジオ「ラディオ・アリチェ」を開局するなど、
ネグリらとともにイタリア・アウトノミア運動を先導する。
77年、政治的弾圧によりフランスへ逃れガタリらと交流し、のち渡米。
インターネットをはじめとする新たなメディアを用いたネットワークの構築にとりくみ、
活動の領域を広げた。
日本語訳に『プレカリアートの詩』(河出書房新社)、『NO FUTURE』(洛北出版)、
『大量殺人の“ダークヒーロー”』(作品社)、
『フューチャビリティー』(法政大学出版局)など。
杉村 昌昭(スギムラ・マサアキ)
龍谷大学名誉教授。1945年生まれ。フランス文学・現代思想専攻。
著書に『資本主義と横断性』(インパクト出版会)、『分裂共生論』(人文書院)。
訳書にラッツァラート『耐え難き現在に革命を!』(法政大学出版局)、
モラン『戦争から戦争へ』、テヴォー『アール・ブリュット』(ともに人文書院)、
アザン『パリ大全』(以文社)、
ベラルディ(ビフォ)『フューチャビリティー』『大量殺人の“ダークヒーロー”』、
アリエズ/ラッツァラート『戦争と資本』(共訳)(以上、作品社)、
ガタリ『分子革命』『精神分析と横断性』(共訳)『精神と記号』、
ドゥルーズ/ガタリ『政治と精神分析』(以上、法政大学出版局)など。