【著者】松本圭二
【判型】四六判、仮フランス装(天アンカット)、スピン有り
【頁数】368頁
【定価】本体3,400円+税
【コード】ISBN978-4-906738-33-5
カバー図版:小山泰介 Untitled (Lines), 2007
詩人はすぐれた批評を書けなければ
ダメだ
朔太郎賞詩人にしてフィルム・アーキヴィストはそう断言する。
大岡信、稲川方人、岡田隆彦、絓秀実、渡部直己、
イーストウッド、ヴェンダース、ゴダールを相手に、何をどのように論じたのか。
著者30歳から書きつづってきたエッセイ&批評の集大成。
セレクション中、最も過激で洒脱。
(栞=寄稿:山本均・坂口一直、著者解題)
【「著者解題」より】
たった今、『チビクロ』第Ⅰ章のゲラを読み終えたところだ。
いやあびっくりした。
予感はしていたが、呆れるほどの下品さである。
ほとんどが30代に書いた文章だが、
この男は書き棄て御免で突っ走っていたのがわかった。(…)
30代にもなって(いや、だからこそか)焦燥感にもがき苦しみ、無謀な攻撃と、
嘘寒い自虐によってなんとか凌いでいたこの男。
だが、なんとまあ、40代になって立ち直っていくのである。
それは映画保存という職業上のテーマがあったからで、
フィルム・アーキヴィストとして生きる道を選んだのだった。
【目次】
第Ⅰ章 詩/文学
詩人の生きる道――大岡信
稲川方人考
続・稲川方人考
ドンブラコ――岡田隆彦
サタンの書――山本陽子「遙るかする、するするながらⅢ」
純粋詩人に物申す――『高貝弘也詩集』
殺気と抒情――中尾太一
詩クロニクル2001
読書日録2002
これから
ミスター・フリーダム
包丁男と泡沫詩人―詩の現在を、私はこう考える
ニッピョンギョと詩のことば
インタビュー 詩集のつくり方
木村栄治 / 鈴木一民 / 佐藤一郎
ジュニアの世界――阿部和重『シンセミア』
いやな感じ――渡部直己『メルトダウンする文学への九通の手紙』『不敬文学論序説』
「詩人くん」と「おカバちゃん」――絓秀実『1968年』
第Ⅱ章 詩/映画
近代の一日
チビクロ
「詩人」の部屋で「映画」は――『百年の絶唱』
アンダーグラウンドの詩人/映画人
寺山修司 / 福間健二
第Ⅲ章 映画/フィルム
みんな死んじまえ!――『ナチュラル・ボーン・キラーズ』
退場劇を想像しろ――ロバート・アルトマン『プレタポルテ』を観に行く
反西部劇的「サーガ」の顚末――『アウトロー』
時間の殺伐――『東京画』
アメリカでは働かなくてもホテルの住人になれる―『ミリオンダラー・ホテル』
批評! 映画
青少年育成のための映画上映
侯孝賢と私
クソったれはクソったれである――コリン・マッケイブ『ゴダール伝』
フィルムアーカイヴはビデオを救えるか
デジタルは重病人だ――フィルムアーカイヴの現場から
フィルムアーキヴィストに関する七つの断章
アニメーション『バクダット姫』の共同復元
地方とアジアの映画発掘―『ドレミハ先生』『義民 冨田才治』『海に生きる人々』
二〇一〇年の城之内元晴 あるいは城之内元晴の全作品が福岡にある理由
映画への試み/映画『非破壊検査』
【著者略歴】
松本圭二(まつもと・けいじ)
詩人。フィルム・アーキヴィスト。
1965年-。早稲田大学第一文学部中退。
2006年、『アストロノート』(「重力」編集会議)で萩原朔太郎賞受賞。
他の詩集に、『ロング・リリイフ』(七月堂、1992年)、
『詩集』(私家版、1995年)、『詩集・未製本普及版』(アテネ・フランセ文化センター、1996年)、
『詩集工都』(七月堂、2000年)、『詩篇アマータイム』(思潮社、2000年)。