『平等の方法』

【著者】ジャック・ランシエール
【訳者】市田良彦・上尾真道・信友建志・箱田徹
【原題】La méthode de l’égalité

【判型】四六判並製、天アンカット、スピン有り
【頁数】392頁
【定価】本体3,400円+税
【コード】ISBN978-4-906738-08-3

 

ランシエール思想、待望の入門書!

 

世界で最も注目される思想家が、みずからの思想を平易なことばで語るロング・インタビュー。
2012 年までの全著作の自著解説。
「分け前なき者」の分け前をめぐる政治思想と、
映画や文学、アートなど「感覚的なものの分割」をめぐる美学思想は、
いかに形成され、いかに分けられないものとなったか。
ランシエール自身によるランシエール。

(ランシエール関係人物事典ともいうべき人名索引付き)

 

【著者より】

われわれインタビュアーは、二つのことを目標とした。
この4部構成のロング・インタビューを、世界でさかんに読まれ言及されている理論家の思想入門とすること。それゆえ、読み手が機械的に繰り返し、なんとなく使うだけになりやすい概念やスローガン(感覚的なものの分割、無知な教師、不和、分け前なき者の分け前など)について、起源・役割・定義をはっきりさせるため、ジャック・ランシエール本人に詳しい説明を求めた。
こうした狙いは第2の目標、ランシエールの哲学プロジェクトを「政治」の時期と「美学」の時期とに区分せず、統一的に再構成することにつながる。ランシエールは、見ることと考えることがいかに干渉しあい、たがいに循環するか、またそれらがどのように連携して闘うかを研究してきた。これは平等の方法の定義でもある。領土と能力の再配置、そこから出てくる語と事物の意味の変化に注目することに、平等の方法は方法としての一貫性を見いだす。

――「はじめに」より

 

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【目次】

はじめに

第Ⅰ章 生成過程

 幼年時代と青年時代 / 高師時代の教育 / 『資本論を読む』 / 共産党路線との関係 / 六八年五月、ヴァンセンヌ、プロレタリア左派 / 分岐 / 『プロレタリアの夜』のなかで / 方法の誕生: 読み書きの仕方 / ミシェル・フーコー / 『論理的反乱』と「五月」の退潮 / 映画、左翼フィクション、民衆の記憶

 

第Ⅱ章 いくつもの線

 相続と特異性 / 反体系的体系性 / 空間の優先、時間の再考 / 過剰あるいは出来事 / シーンをどう定義するか / 発話による主体化 / 能力あるいは可能性 / 美学革命か民主主義革命か / 哲学的エクリチュールと普通の言説 / 効果としての哲学 / 残りはあなたのもの / 思考の笑い

 

第Ⅲ章 閾

 脱神秘化あるいは脱構築 / コンセンサスと愚鈍 / 支配を払いのける / 無意識を位置づける / 象徴秩序の平等な喪失 / プロレタリアの過去と現在 / 平等/ 不平等 / 〈共〉の動的編成 / 脱アイデンティティと主体化 / 政治と制度 / 社会の場所 / 新しさと歴史性 / イメージの散乱はもう一つの芸術体制であるか / ポピュラーカルチャー

 

第Ⅳ章 現在

 可能なものの地図作成 / 現在の姿、「ポリス」のあり方 / 切断、革命、反乱 / 新たなインターナショナリズム? / 移住する身体、苦しむ身体 / 人間、人間でないもの: 政治的エコロジーについて / 脱現実化した世界: どのように情報を得るか? / 三面記事、ありふれた生、調査 / 不安定で庶民的な生の技法 / 感覚的なものの分割と現代アート / 社会主義の未来 / 政治経済学 / インタビューと対話

 

【略歴】

【著者】
ジャック・ランシエール(Jacques Rancière
パリ第8大学名誉教授(哲学、政治思想、美学)。1940年、アルジェ生まれ。
邦訳された著書に『アルチュセールの教え』(航思社)、『不和あるいは了解なき了解』『民主主義への憎悪』(ともにインスクリプト)、『無知な教師』『解放された観客』『感性的なもののパルタージュ』(ともに法政大学出版局)、『イメージの運命』(平凡社)、『言葉の肉』(せりか書房)、『マラルメ』(水声社)など。

【訳者】
市田良彦(いちだ・よしひこ)
神戸大学大学院国際文化学研究科教授。1957年生まれ。
著書に、『存在論的政治』(航思社)、『ランシエール』(白水社)、『革命論』『アルチュセール ある連結の哲学』『闘争の思考』(以上、平凡社)、訳書にランシエール『アルチュセールの教え』(航思社)、アルチュセール『哲学・政治著作集』全2巻(共訳、藤原書店)、ヴィリリオ『速度と政治』(平凡社)など。

上尾真道(うえお・まさみち)
立命館大学専門研究員。1979年生まれ。
訳書にジャン=クレ・マルタン『百人の哲学者 百の哲学』(共訳、河出書房新社)、ブルース・フィンク『精神分析技法の基礎』(共訳、誠信書房)など。

信友建志(のぶとも・けんじ)
鹿児島大学准教授。1973年生まれ。
訳書にアントニオ・ネグリ『スピノザとわたしたち』、ステファヌ・ナドー『アンチ・オイディプスの使用マニュアル』(以上、水声社)、エリザベート・ルディネスコ『ラカン、すべてに抗って』(河出書房新社)など。

箱田徹(はこだ・てつ)
京都大学人文科学研究所研究員。1976年生まれ。
著書に『フーコーの闘争』(慶應義塾大学出版会)、訳書にジャック・ランシエール『アルチュセールの教え』、クリスティン・ロス『68年5月とその後』(ともに航思社)など。

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