『68年5月とその後
――反乱の記憶・表象・現在』
【著者】クリスティン・ロス
【訳者】箱田 徹
【原題】May ’68 and its afterlives
【シリーズ】革命のアルケオロジー 3
【判型】四六判、上製
【頁数】478頁
【定価】本体4,300円+税
【コード】ISBN978-4-906738-09-0
ラディカルで行こう!
50年代末のアルジェリア独立戦争から、
21世紀のオルタ・グローバリゼーション運動に至る半世紀のなかで、
フランス現代思想と社会運動を俯瞰しつつ、
インタビュー集やビラ、ドキュメンタリー映画、小説など
膨大な資料を渉猟して描かれる「革命」のその後(アフターライフ)。
これまで看過されがちだった労働者の声、工場潜入・農村潜入した活動家の声も丹念に拾い上げます。
【著者より】
本書は、「68年5月」が、その後さまざまに描かれて、どのように攻撃されてきたのかを扱っている。
出来事としての「5月」が、みずからを抹殺しようとする動きにどのように抗してきたのか。「5月」の消去をもくろむ社会の側での忘却と私物化、あれこれと解説する社会学者、そして当時の記憶を独り占めしようとする元学生運動指導者に対して、「5月」がその出来事としての重要性を主張し、あるいは確立することで、今日までいかにして持ちこたえてきたか。(…)
本書がたどるのは、社会的記憶と忘却/捏造を具体的に表現するものの歴史である。なぜなら「5月」の記憶の管理――出来事の政治的意義が解説や解釈で骨抜きにされるプロセス――こそ、40年以上を経た現在に「1968年」が提起する歴史的問題の核にあるからだ。
――「はじめに」より
【目次】
はじめに
第Ⅰ章 ポリスによる歴史
社会学とポリス 棍棒 アルジェリア人のフランス
第Ⅱ章 さまざまな形態、さまざまな実践
専門化批判 「ベトナムはわれらが工場内に! 」 虎穴に入る 表象の幻想
第Ⅲ章 違う窓に同じ顔
報復と審判 反第三世界主義と人権 テレビ哲学者たち
第Ⅳ章 コンセンサスが打ち消したもの
日本語版補遺 いまを操ること
アメリカナイズされるフランスの「五月」 イスラエルというフィルター
【略歴】
【著者】
クリスティン・ロス(Kristin Ross)
ニューヨーク大学比較文学部教授。19世紀・20世紀フランス文学・文化・思想。
邦訳された共著に『民主主義は、いま』(以文社)。未邦訳の著書に、Fast Cars, Clean Bodies: Decolonization and the Reordering of French Culture, The MIT Press, 1996; The Emergence of Social Space: Rimbaud and the Paris Commune, Verso, 2008 など。ランシエールの英語訳でも知られる。
【訳者】
箱田 徹(はこだ・てつ)
京都大学人文科学研究所研究員。社会思想史。1976年生まれ。
著書に『フーコーの闘争』(慶應義塾大学出版会)、訳書にジャック・ランシエール『アルチュセールの教え』『平等の方法』(ともに共訳、航思社)など。