セレクション7

【著者】松本圭二

【判型】四六判、仮フランス装(天アンカット)、スピン有り
【頁数】264頁
【定価】本体2,600円+税
【コード】ISBN978-4-906738-31-1

(栞=寄稿:金井美恵子、著者解題)

カバー図版:小山泰介 Untitled (Frequently), 2007

 

 

詩の生成、詩人の誕生――


小説家志望の青年が詩を書きはじめるまでを綴った「あるゴダール伝」。
元タクシードライバーの詩人で、かつてはテロリスト志望だったと思しき男が、
PCモニター上に現れた宇宙公務員の質問に答えていく「詩人調査」。
詩とは何か、詩人とは何か、そして詩人にとって詩とは何かを描く2篇。

(栞=寄稿:金井美恵子、著者解題)

では、『海を見に行け』は不発弾だったのか。
それはまだわからない。
ひょっとしたら、それを偶然手にした一人一人の読者の内部で、すでに小爆発を起していたかも知れない。
そして彼自身や彼の友人や恋人を海に連れていったかも。
しかし、その程度の爆発で権田さんが満足するはずもない。
20年後の今でも、『海を見に行け』は東京の古本屋の暗がりで大爆発の時を待っているはずだ。
――「あるゴダール伝」

わたしはね、東京では結局、一度も海を見ていないんです。
不思議ですよね。
海は近くにあるはずなのに、うんと遠い気がしていました。
ですから『海を見に行け』という詩集には、
便所に流したニョロニョロが下水を渡って海に出るというイメージが色濃くあったかも知れない。
あるいは神田川に棄てた『チェーホフ爆弾』がどんぶらこと流れて
海まで運ばれていくイメージとか。
――「詩人調査」



【「著者解題」より】

「同人誌をバカにすんな!」
「自費出版を恥じるな!」
小説「あるゴダール伝」と「詩人調査」のテーマはほぼその二つである。
この2作品には、自分が過去に関わった同人誌や映画製作、サークル等の記憶が色濃く反映している。
短い付き合いとはいえ、そこには多くの仲間がいた。
ようするに僕は僕なりにちゃんと青春をやっていたわけだ。



※「詩人調査」は、文芸評論家・斎藤美奈子さんが朝日新聞で、2010年小説ベスト3の一作として選んだ作品です。

 

 

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【著者略歴】

松本圭二(まつもと・けいじ)
詩人。フィルム・アーキヴィスト。
1965-。早稲田大学第一文学部中退。
2006年、『アストロノート』(「重力」編集会議)で萩原朔太郎賞受賞。
他の詩集に、『ロング・リリイフ』(七月堂、1992年)、
『詩集』(私家版、1995年)、『詩集・未製本普及版』(アテネ・フランセ文化センター、1996年)、
『詩集工都』(七月堂、2000年)、『詩篇アマータイム』(思潮社、2000年)。