『ロング・リリイフ』

【著者】松本圭二

【判型】四六判、仮フランス装(天アンカット)、スピン有り
【頁数】112頁
【定価】本体2,500円+税
【コード】ISBN978-4-906738-25-0

(栞=初期詩篇〔ソナチネ/拾遺/増殖する亡骸の関係/きのいき/12月の病い〕、著者解題)

カバー図版:小山泰介 Untitled (Break, Continuation and Reflection), 2007

朔太郎賞詩人の幻の第1詩集

 

そうして僕らは 鮮やかなアクリル質の皮膜のなかで 日々の没落を暖めていた
その腐敗物は
恋人の夢の彼方で匂っている
熟れ落ちた柘榴なのだろう
僕はシオカラトンボの飛行に誘われるまま ぬるい湿林に嵌まってしまう
切り取られた空のゆるまりのなかで なおもゆるまってゆく
柘榴
親密な体臭に絆された溺愛の白雲がひかれてゆく ぬるく ほとばしる

絨毯爆撃がしたい




 

【著者より】

ここに収めた各詩篇の原形となるテクストを書いたのは、
1982年から87年にかけてのおよそ5年間であり、
年齢で言えば17歳から22歳、
たぶん、私がもっとも詩人らしくあった頃である。
それらのテクストを、私は自室でこっそりと書き、長い間隠し持っていた。
『ロング・リリイフ』のような詩集を私は二度と作ることはできないし、
ここに収めたような詩を書くこともできない。
多くの処女詩集がそうであるように、これは一回きりの跳躍である。
ただし私は、これまでの詩集でも一回きりの跳躍を試みたつもりである。
叶うことならば処女詩集だけを作り続けたい。私は詩人の成熟など全く信じていない。

 

主な取り扱い書店一覧

 

【目次】

夏至

ロング・リリイフ

エレクトリック・フルーツ

ユリス

ナゼル

ヒバリ

ランタン

草卵

どこに配達されるの?

ブギウギしちゃうな

ヒナタに来てよかったね

メガヘルツ

空母

鯊とコチ

ソフト・カートリッジ

クリア

 

【著者略歴】

松本圭二(まつもと・けいじ) 詩人。フィルム・アーキヴィスト。
1965-。早稲田大学第一文学部中退。2006年、『アストロノート』(「重力」編集会議)で萩原朔太郎賞受賞。
他の詩集に、『ロング・リリイフ』(七月堂、1992年)、
『詩集』(私家版、1995年)、『詩集・未製本普及版』(アテネ・フランセ文化センター、1996年)、
『詩集工都』(七月堂、2000年)、『詩篇アマータイム』(思潮社、2000年)。