『全共闘晩期
――川口大三郎事件からSEALDs以後』
【編著者】絓 秀実・花咲政之輔
【判型】A5判、並製
【頁数】272頁
【定価】本体2,200円+税
【コード】ISBN978-4-906738-51-9
【装丁写真】初沢亜利
歴史の歪曲を糺す
1970年7.7華青闘告発の直後の山村(梁)政明の自死につづく
川口大三郎虐殺事件と「早稲田解放闘争」、
そして各大学で執られるようになった支配構造とは何か。
全共闘後期から2015年SEALDs、
そして現在と未来の社会運動をめぐり数々の問題を剔抉する。
樋田毅のノンフィクション『彼は早稲田で死んだ』、
それを原案とするドキュメンタリー映画、代島治彦監督『ゲバルトの杜』は、
歴史を歪曲し、真実から目を背けている。
われわれは、記憶し、闘争し、最後まで忘却を拒否する、まつろわぬ者どもである。
【編著者より】
新左翼運動として闘われた「1968年」が、
現代の思想潮流のなかで、どのように変質しているのか。
それは、戦後思想のなかで、どう位置づけられるのか。
とりわけ、2015年の安保法制反対運動をへて、どこへ向かっていったのか。
いったい「内ゲバ」とは何であり、今、どのように考えられるべきなのか。
そして、2015年以降、天皇制の問題は、どう捉えられるのか。
同時代の海外における左派運動内の「暴力」は、どうだったのか。
問いは開かれている。
――巻頭言より
【目次】
巻頭言
本書は何から始まり、何をめざしているか? 絓秀実・花咲政之輔
第Ⅰ部 シンポジウム
映画『ゲバルトの杜』徹底批判
大野左紀子・河原省吾・菅 孝行・
照山もみじ(金子亜由美)・絓 秀実・花咲政之輔
第Ⅱ部 政治の表象/表象の政治
記憶の修正・歴史の偽造―映画『ゲバルトの杜』への心象を起点に 菅 孝行
「川口君事件」をいかに「語る」か 照山もみじ(金子亜由美)
誰のための鎮魂なのか――川口大三郎事件と早大解放闘争は終わらない 河原省吾
暴力への想像力 大野左紀子
川口君追悼とは真逆の虐殺者免罪映画 水谷保孝
樋田毅『彼は早稲田で死んだ』を鼻つまみにし、歴史のくずかごへ 前田年昭
「絶望」と隣り合う「希望」とは如何なる謂か?
――代島治彦『ゲバ杜』とその言説・徹底批判 絓 秀実
昂揚会・原理・早稲田リンクス――奥島「改革」後の早大管理監視体制 花咲政之輔
鼎談 虐殺者の側に立つ映画 亀田 博・絓秀実・花咲政之輔
第Ⅲ部 全共闘晩期
「六八年」をめぐる個人的な抵抗 稲川方人
早稲田は誰に住みよいか 津村 喬
梁政明の死 津村 喬
山村(梁)政明の闘争と抵抗 小泉義之
なんとなく、カクマル――「暴力批判論」のために 長濱一眞
内ゲバとアソシエーション 吉永剛志
新左翼とは何だったか
―一九六九年の未完の階級構成をめぐって マニュエル・ヤン
天皇制の「永遠」と内ゲバの「終焉」 絓 秀実
関連年表
【略歴】
絓 秀実(すが・ひでみ)
文芸評論家。1949年新潟県生まれ。
著書に『天皇制の隠語』(航思社)、『アナキスト民俗学』(共著、筑摩選書)、
『革命的な、あまりに革命的な』(作品社/増補版ちくま文庫)、『1968年』(ちくま新書)、
『反原発の思想史』(筑摩書房)、『対論1968』(共著、集英社新書)、
『絓秀実コレクション』全2巻(blueprint)など。
花咲政之輔(はなさき・まさのすけ)
早稲田大学構内立ち入り禁止処分者。太陽肛門工房主宰。1967年埼玉県生まれ。
太陽肛門スパパーンのアルバムに『円谷幸吉と人間』
『テロリストブッシュと人間』『馬と人間』など。
著書に、『ネオリベ化する公共圏』(絓秀実との共編著、明石書店)、
『LEFT ALONE』(共著、明石書店)など。