『アストロノート』

【著者】松本圭二

【判型】四六判、仮フランス装(天アンカット)、スピン有り
【頁数】208頁
【定価】本体3,000円+税
【コード】ISBN978-4-906738-29-8

(栞=寄稿:井土紀州、著者解題)

カバー図版:小山泰介 Orangutan’s Pee, 2006

 

 

分離する朔太郎賞受賞作――

疎外は夢
解離は憧れ
死は古典
運命のように
血は血を演じ続けるのだ
私は新しい猿たちに告げよう
この立ち枯れた宇宙の片隅では
起源無き動力があらゆるものを支配している
それを人間たちのように「時間」と呼んではならない
君が見たものの一切は
君自身の外部の形象にすぎないのだから
それを人間たちのように「世界」と呼んではならない
退屈なのだおそらく
何もかもが
君には




【著者より】

雑誌「重力01」のために
「TDU(タクシー・ドライバーズ・ユニオン)」という長編詩を書いていた。
たしか9月が〆切りで、それに間に合うように書いたのだったが、
さあ入稿しようとした直前にニューヨークで派手なテロが起きた。
いわゆる「9.11」である。
「TDU」はタクシー運転手の組合が乗客を人質にして自爆テロを計画するという詩だったので、
ああやられたと思った。
「9.11」のあとで「TDU」を出したって遅い。
予言詩的なテクストを書いていただけに残念だった。
〆切りが延びたことを幸いに私は長編詩「TDU」を瓦礫化することにした。

 

 

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【著者略歴】

松本圭二(まつもと・けいじ) 詩人。フィルム・アーキヴィスト。
1965年-。早稲田大学第一文学部中退。
2006年、『アストロノート』(「重力」編集会議)で萩原朔太郎賞受賞。
他の詩集に、『ロング・リリイフ』(七月堂、1992年)、
『詩集』(私家版、1995年)、『詩集・未製本普及版』(アテネ・フランセ文化センター、1996年)、
『詩集工都』(七月堂、2000年)、『詩篇アマータイム』(思潮社、2000年)。

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