【著者】RAF

【訳者】初見 基、CHINO RICH_O

【判型】四六判、上製
【頁数】352頁
【予価】本体3,400円+税
【コード】ISBN978-4-906738-52-6

2025年3月末 出版予定

世界を震撼させた組織は何を主張していたか

 

「バーダー・マインホーフ」グループとしても知られる
第1世代のドイツ赤軍(RAF)。
反帝国主義、反資本主義を掲げ、
国家や米軍、企業などへの武装闘争をくり広げながらも、
市民から広範に支持され、「人民の海を泳ぐ」ことができたのはなぜか。
かれらの思想を明らかにすべく、公表された文書やビラを集成。
第1巻は、60年代後半の組織結成にいたる前史から、
72年「黒い九月」によるミュンヒェン・オリンピック闘争に関する声明までを収録。

【著者より】

革命には最高原理がある。
人民の力を発揮・維持し、敵の力を破壊することだ。
これによって赤軍の戦略と戦術は定められている。〔…〕
人民の武装集団が《海中の魚のように人民の海で泳ぐ》のに応じて、
人民の敵はこの大衆の海に溺死してゆくだろう。
この過程で人民は己の力を発見し、この力をより意識的に使用するだろう、
人民は軛から、搾取社会の法規への服従から脱するだろう。

――「西ヨーロッパの武装闘争について」より

 

【目次】

前書き
前史に関する覚書

序論 一九七〇年から一九七二年

赤軍の建設――アンドレーアス・バーダー解放に関する声明(1970年6月5日付)

都市ゲリラ構想(1971年4月)
 1 具体的な問いに対する具体的な回答
 2 本国としての連邦共和国
 3 学生叛乱
 4 実践の優位
 5 都市ゲリラ
 6 合法活動と非合法活動

西ヨーロッパの武装闘争について(1971年5月)
 1 武装闘争――革命理論の中心問題
 2 武装闘争とゼネラル・ストライキ
 3 プロレタリア意識、革命理論、および革命的知識人層の役割
 4 革命的前衛とプロレタリア階級
 5 本国における革命的介入方法としての都市ゲリラ
 6 支配機構に対する攻撃――大衆闘争における必然的要因
 7 人民大衆の力を具体的に発見し、そして大衆の諦念を克服せよ!
 8 革命と若者社会
 9 武装闘争のなかで武装闘争を通じてプロレタリアートの革命組織を創設せよ!
 10 ファシズムへの恐怖を克服しその根を断て!
 次に打つべき手は何か?

人民に奉仕する――都市ゲリラと階級闘争(1972年4月)
 1 ペルシャと新左翼内の矛盾
 2 一九七一年の化学労働者ストライキ
 3 所有権問題と紛争の軍事化
 4 焦眉の個別問題について

〔五月攻勢〕
 フランクフルト・アム・マイン米陸軍指令部への攻撃(1972年5月14日付)
 アウクスブルクおよびミュンヒェンにおける攻撃(1972年5月16日付)
 カールスルーエにおける連邦裁判所判事ブッデンベルクへの攻撃(1972年5月20日付)
 ハンブルク・シュプリンガー社屋への爆弾攻撃(1972年5月20日付)
 ハイデルベルク・アメリカ陸軍欧州司令部への爆弾攻撃(1972年5月25日付)
 フランクフルト赤色救援会ティーチインの録音テープ記録(1972年5月31日付)

ミュンヒェン・オリンピックでの《黒い九月》の行動
 ――反帝国主義闘争の戦略について(1972年11月)
 1 帝国主義
 2 日和見主義
 3 ファシズム
 4 反帝国主義行動


訳者あとがき
略号一覧
RAF関連年表

 

【略歴】

RAF(Rote Armee Fraktion:ドイツ赤軍)
反帝国主義、反資本主義を掲げて70年に結成。第1世代は「バーダー・マインホーフ」グループとして知られる。逮捕された主要メンバーは激しい獄中闘争・法廷闘争を展開。第2世代はその支援で、77年に政財界や司法界の重要人物の誘拐・暗殺、PFLPと共同でルフトハンザ航空機ハイジャックなどを次々と行った(「ドイツの秋」)。その後も世代交代を重ねながらNATOや軍施設などを対象に闘争を展開したが、98年に解散。

初見 基(はつみ・もとい)
ドイツ文学専攻。
埼玉県生まれ。著書に『ルカーチ』(講談社)、訳書にトーマス・ベルンハルト『樵る』(河出書房新社)、ジャン・アメリー『老いについて』(みすず書房)など。

CHINO RICH_O
美学・芸術学専攻。
大学非常勤講師。福岡県生まれ。一橋大学大学院博士後期課程単位取得退学。