『歴史からの黙示』

【著者】千坂恭二
【解説】松田政男・山本光久
【シリーズ】革命のアルケオロジー 7

【判型】四六判、上製、スピン有
【頁数】384頁
【定価】本体3,600円+税
【コード】ISBN978-4-906738-35-9

資本制国家を撃て!

 

 

ロシア革命の変節、スペイン革命の敗北、そして1968年の持続と転形――
革命の歴史をふまえて展開される、
生き方としての「アナーキー」ではなく、
国家廃絶をめざす革命思想としての「アナキズム」。
「戦後最年少イデオローグ」として名を馳せた旧版に、
1968年闘争期におけるアナキズム運動の総括文書「無政府主義」などを増補した
戦後日本アナキズム思想の極北。

 

【著者より】

現在のアナキズムの思想情況から考えあわせるならば、
アナキズムはますますアナーキー一般と同一視され、
あたかもアナーキスティックなるものがアナキズムであるかの如くに、
その思想的形骸化と空洞化はいっそう顕著である。
事実アナキズムとアナーキーの同一視は、
今日の低迷をきわめたアナキズムの思想情況と重なり、
あたかも主観的な、方法なき心情レベルでの「叛逆」
——アプリオリなる不定型叛乱主義、自治管理主義、小市民的反戦主義——が
アナキズムとして通用している。(…)
かかる〈擬制〉には終止符をうたれねばならぬ。
アナキズムを去勢化し、平然と蹂躙してきた“公許”アナキズムは葬り去らねばならない。
時間‐空間を撃ち、
世界を獲得‐変革せんとするアナキズムは〈未踏領域〉へ大きく飛翔することにより、
かかる“公許”アナキズムを埋葬するであろう。
本稿は、まさにその一つの試みであり、序奏曲である。
すなわちアナキズム原初の視座より、
それをこの時間‐空間(歴史‐世界)を撃つものとして構築し、
世界‐日本のアナキズムを総括し、それらを超克し、
もってアナキズム革命を可視化せんとするものである。

――「無政府主義革命の黙示録」より

 

【解説より】

千坂恭二は、今や〈癖〉にまで昂められたところの原理への執着に、
いささかの妥協をも許そうとはしない。
したがって、本書は単なる映画論集ではむろん無く、
情況論集ではさらに無い。
全10章の主題が、存在‐歴史‐超人‐暴力‐国家‐内戦‐軍隊‐時間‐犯罪‐肉体と
簡潔に連示されているように、
千坂は、あくまでも己れの立脚する独特の〈時間‐空間論〉を軸に、
アナーキズムをプルードン‐クロポトキンの系譜においてではなく、
ヘーゲルにまで遡及しつつシュティルナー‐バクーニンの系譜において
蘇生せしめるという初志をば貫徹させつづけているのだ。
そして、この場合、千坂において
やや晦渋な抽象的思弁を歴史の具体性へと転轍せしむべき媒介となるのが
ネチャーエフの存在であることはむしろ当然としても、
千坂はさらにブランキの復権をもその指標として掲げるのである。

――松田政男「〝癖〟に昂まった原理」

 

 

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【目次】

第Ⅰ部

存在 国家を撃つテロルの地平
歴史 歴史のなかの〈生〉と〈死〉
超人 ネチャーエフ
暴力 歴史における巨視と微視

第Ⅱ部

国家 無政府主義革命の黙示録
 序 アナキズムへの確執
 第1章 総論・視座――未踏領域へ
 第2章 国家廃棄――共同体の指標
 第3章 組織論――黙示録の共同体
 第4章 世界革命綱領の視座
 付章
内戦 ロシアの背理と革命の逆説
軍隊 不可能性のインタナショナル

第Ⅲ部

時間 〈国家性時間〉と都市
犯罪 犯罪者と革命家の十字路
肉体 時間の仮構とその所有

新版補遺

反アナキズム論序説――唯一的革命の神話と構造
無政府主義

解説

〝癖〟に昂まった原理 松田政男
〈観念〉の力 山本光久

 

【略歴】

千坂恭二(ちさか・きょうじ) 日独思想、映画批評。1950年生まれ。
高校在学中からアナキズム運動に参加し、
「アナキスト革命連合」(ARF)や「アナ高連」「大阪浪共闘」で活動。
70年代初頭、新左翼論壇において「戦後最年少イデオローグ」として注目され、
73年に本書旧版『歴史からの黙示』(田畑書店)を上梓。
その後、バクーニンやドイツ思想、エルンスト・ユンガーに取り組み、
1980年代以降の思想状況全般に批判的となり隠遁生活に入る。
約20年の沈黙を経て2008年ごろから再始動。
他の著書に『思想としてのファシズム――「大東亜戦争」と1968』(彩流社、2015年)。